津地鎮祭事件っていうのはよくわからないですね。
わかりやすく教えてください。
津地鎮祭事件ってどんな事件?
事案
津市が体育館を建設するにあたって、神職主宰のもとで神道式の地鎮祭を挙行し、神職への謝礼及び供物料の挙式費用を公金から支出したことが、憲法に違反するのではないかが争われた。
判旨
- 政教分離規定は、いわゆる制度的保障の規定であり信教の自由そのものを直接保障するものではなく、間接的に保障を確保するものである。
- 現実の国家制度として、国家と宗教との完全な分離を実現するのは実質不可能に近い
- 政教分離には一定の限界があることを免れず、国家は実際上宗教とある程度のかかわり合いをもたざるをえないことを前提として、そのかかわり合いが信教の自由の保障の確保という制度の目的との関係で、どんなときにどのくらいの限度で許されないことになるかが問題とならざるをえない。
- 政教分離原則は国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく、行為の目的と効果にかんがみ、そのかかわりが相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許されないと解すべきである。
- 宗教的活動とは国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つ全ての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが相当とされる限度を超えるものに限られるというべきで、行為の目的が宗教的意義を持ちその効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉になるような行為をいうものと解すべきである。
- ある行為が宗教的活動に該当すべきかどうかは、当該効果の外形的側面のみにとらわれることなく、場所、一般人の宗教的評価、当該行為者が当該行為を行う意図、目的、宗教的意義の有無、当該行為の一般人と与える効果、影響等諸般の事情を考慮し社会通念に従って客観的に判断しなければならない。
津地鎮祭事件のポイント
津地鎮祭事件の重要箇所を取り上げてみます。
- 政教分離規定は間接的に信教の自由を保障するもの
- 政教分離原則は国家と宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではない
- 宗教的活動に当たるか否かは外形的側面ではなく一般人の評価、社会通念に従って判断する必要がある
- 地鎮祭は宗教とかかわり合いをもつものであることを否定できないが、その目的は工事の無事安全を願うという世俗的なものと認められるので憲法に違反しない(宗教的活動にはあたらない)
以上に挙げた点を押さえましょう。もう少し噛み砕いて説明してみると、
国家と宗教が全く関わらないということは不可能なことである。しかし、そのかかわり合いが過度に越えてしまうとダメである。それがどれくらいダメなのかが問題となる。
そのかかわりがその宗教を助けまくるorめちゃくちゃ圧力をかけるとかはダメだ。またその活動は一般人から見て、または社会通念から見て客観的に宗教的活動になるのか判断しないといけない(外面ではなく内面を見て判断する)。
今回の地鎮祭は上の基準で考えると、たしかに宗教的な感じがするが目的は工事の安全を願うものなので問題なし。
ということになるでしょう。
津地鎮祭事件の試験での出題例
・市の主催で体育館の起工式を神道式地鎮祭として行うことは、その目的が社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものでも、憲法で禁止されている宗教的活動にあたる。
答えはもちろん×ですね。解説したとおり、地鎮祭は社会通念に照らして見ても、安全祈願くらいのものなので宗教的活動にはあたりません。
まとめ
今回は信教の自由の部分から、津地鎮祭事件を取り上げて解説してきました。わかりましたかね?この判例も試験では肢の一つで出題されそうな感じがあります。
結論と共に、なぜそうなるのかというところまで説明できるようになっていて下さい。
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