八幡製鉄政治献金事件~法人の政治献金は許されるのか?~

憲法判例
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株式会社などがよく支持政党に対して献金をしているけど、本当に違法ではないんですか?

八幡製鉄政治献金事件の結論

最初に簡単に結論を言うと、法人の献金は問題ないということです。

以下判例を見ていきます。

事件のあらまし

八幡製鉄株式会社の代表取締役が、ある政党へ政治献金を行った。するとある株主がその事を不服として訴訟を起こし、争うことになった。そこでは法人が政治献金を行う自由を有するのかが焦点となった。

判旨

  1. 憲法上の選挙権等は自然人たる国民にのみ認められる。
  2. 納税などの義務を負う法人にも意見の表明などを禁止すべき理由もない
  3. 法人にも政治的行為をなす自由が認められる
  4. 政治献金はその事で個々の選挙権等の行使には直接影響はない

事件のポイント

ここで押さえておくべきポイントは3つです。

  1. 憲法上の選挙権等は自然人たる国民のみ認められるのが原則だが、国民同様納税の義務を負う以上法人にも認められる
  2. つまり法人にも政治的行為をなす自由が認められる
  3. 政党への献金はその事で個々人の選挙権等への影響が直接あるわけではないので、問題ない

1つ目が日本国憲法では選挙権等は自然人たる国民のみに認められているのが原則とされています。しかし法人もまた納税等の義務があります。

つまり納税という負担を負う以上、意見をいう権利はあるでしょう?という理屈です。だから法人にも特定の政党を支持したりすることは許されるというわけです。二つ目の結論はここから導き出されたものです。

三つ目が法人が献金をしたからといって、個々の選挙権の行使まで影響はないということです。これを分かりやすく言ってみると、

法人の株主は、法人が献金した先の政党がイヤなら次の選挙で別の政党に投票すればいいでしょ?別にそのイヤな政党に絶対投票しないといけないわけじゃないでしょ?
っていうことです。かなり噛み砕きましたが、要はこういうニュアンスのことを言っているんです。
 
もう少し言うと、法人の株主になったのはその株主自ら進んでなったわけでしょう?イヤなら株主の立場を降りればいいんです。
以上が押さえておくべきポイントでした。

考えられる出題パターン

·法人には日本国憲法の定める基本的人権の享有主体とはなることはない。

·会社には自然人とは異なり、政治的行為をなすことは認められていない。

·憲法上の選挙権や参政権は自然人たる国民にのみ認められたものであるため、法人にはその権利は認められない。

·政治献金はその一部が選挙人の買収にあてられるなど、株主の選挙権の自由なる行使を侵害するおそれがあるため、認められない。

いずれも誤りの肢となります。おそらくそんなに難しくはないと思います。聞かれるポイントも決まっていますので。

とにかく押さえるべきなのは、

  • 法人には政治的行為をなす自由がある
  • 政党への献金は、株主個々の選挙権等の行使に直接影響するものでもないため違法ではない

この二点だけ押さえておけば大丈夫です。

まとめ

今回は法人は政治献金をすることはできるのか?ということで八幡製鉄政治献金事件を取り上げて解説してきました。

押さえておくべきポイントは数点ですから、必ずなぜそうなるかという理解をした上で頭に入れてください。

そうすれば本試験や模試で問われても必ず正答にたどり着くことができますよ。それでは勉強引き続きファイトです。

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