国労広島地本事件~労働組合の政治活動と組合員~

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ヌメまさ
ヌメまさ

労働組合に入っているからには、組合員は政治活動にも協力する義務があるのか?

そもそも労働組合は政治活動をする自由は認められているのか?

今日取り上げるのは国労広島地本事件という判例です。国鉄の広島地域本部の略です(国鉄とはJRの前身)。

前回と前々回ではそれぞれ営利法人、公益法人の政治活動について取り上げましたが、労働組合はどうなのか?ということです。

行政書士試験においては、営利法人や公益法人の政治活動との違いを問われるような形で出題があるかもしれません。ですので結論だけでもしっかり押さえておきましょう。

ちなみに営利法人、公益法人の判例はこちらの記事をご覧ください。

八幡製鉄政治献金事件~法人の政治献金は許されるのか?~

税理士会政治献金事件~公益法人の行う政治献金は目的の範囲内か?~

それでは説明していきます。

国労広島地本事件について

簡単な結論

労働組合が政治活動をすることは目的の範囲内だが、組合員に政治活動への協力を強制することは許されない。

事件のきっかけ

国鉄の労働組合広島地域本部の社員が労働組合からの脱退を組合に伝え、了承された。

しかし組合側は脱退前の政治的立場を強制するような組合費の未納分を納めるように組合員側に要求した。

そのためそれを不服として争うことになった。

判旨

  1. 労働組合の組合員は組合の活動に参加し、組合費を納付する義務を負う
  2. 労働組合は労働者の労働条件等の改善を図ることを主とする団体で、その協力義務もその目的の範囲内に限られる
  3. つまり当然かつ一様に組合員に対して統制力を及ぼし、協力を強制することができると速断できない
  4. 組合からの脱退の自由が許されている限り、原則組合員は組合に対して協力義務があるが、本件の場合脱退の自由が事実上制約を受けている
  5. つまり労働組合が組織として政治活動を行うことは自由だが、組合員に対してその協力、費用の負担を強制することは許されない

国労広島地本事件のポイント

ここで押さえるべきポイントは次の三点です。

  • 原則組合員は労働組合の活動に協力義務がある
  • しかしそれ以外の目的達成のための活動まで組合員に統制力を及ぼすことはできない
  • 本件の労働組合は脱退の自由はあるが、中には脱退の自由が事実上制約を受けているところもあるので、組合員に何でもかんでも強制することは許されない

普通労働組合というのは、名前の通り労働者の立場などを守るために存在しています。なので組合員はその活動に従うのが筋と言えます。

しかし組合員にも様々な信条をもった者がいることは当然予想がつくため、組合主導の政治活動まで強制してはいけないといっています。

そして三つ目なんですが、これはどういう意味かわかりますでしょうか?もしかしたらちょっと何言ってるかわからないというひともいると思います。なので分かりやすく噛み砕いて説明します。

その前に労働組合の種類について代表的な種類を挙げてみます。

  • オープンショップ…使用者が労働者を雇うとき、特に組合員であることを雇用条件としないもの
  • クローズドショップ…使用者が労働者を雇うとき、組合員から雇用しなければならない。つまり強制加入。
  • ユニオンショップ…労働者は入社後必ず組合員になる必要がある組合員にならなければ解雇される。

このように労働組合と一口にいっても何種類か存在し、加入しなければ解雇という形式のものも存在するわけです。これらを踏まえて三つ目のポイントを説明すると、

例えば自分の所属する会社の労働組合がユニオンショップ制をとっていた。その組合が自分の意思に反する政党に献金をしてイヤな気持ちになっても、組合から抜けることができない。組合から抜けると解雇されるからだ。

この場合は半ば強制的に組合へ所属し続けなければなりませんよね?こういう場合があるから、組合員に政治活動への強制は許されないといっているわけです。

予想される出題例

·労働組合は労働者の労働条件の改善などを求めるのが本来の役割なので、政治活動を組織として行うことは許されない

·組合員は組合から脱退の自由が事実上制約されているとしても、一応の脱退の自由はあるのだから、組合の政治活動に協力すべきと言える

以上この二パターンですが、いずれも誤りです。ポイントの部分で挙げたものをもう一度読み込んで、再びこの例題を見直して見てください。理解が深まりますよ。

まとめ

さて今回は国労広島地本事件の判例を取り上げてきました。

労働組合には政治活動の自由があるのか、また組合員はその事に従わなければならないのか?という点を中心に説明しました。

おそらく問われるとすればこの部分ですから、よく理解して頭に入れておいて下さい。

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