箕面市忠魂碑訴訟~市有地の無償貸借行為は政教分離原則に反するか?

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ヌメまさ
ヌメまさ

忠魂碑を移転して、その費用と市有地の無償貸借行為は政教分離原則に違反しないヌーか?

それと忠魂碑前で行われた慰霊祭に教育長が出席した行為も違法にはならんか?

今回は政教分離の分野より、箕面市忠魂碑訴訟について解説していきます。今回説明する論点は2つあります。

  1. 忠魂碑を移転した費用を市がもち、かつ無償で貸借したことは問題ないのか?
  2. 慰霊碑の前で行われた慰霊祭に市の教育長が出席したことは問題ないのか?

試験で問われるのはここの部分ですから、結論を覚えることはもちろん、なぜその結論にいたるのかというところを中心に理解していきましょう。

箕面市忠魂訴訟の概要

訴訟の結論

市が忠魂碑も移転費用を負担したり、移転後の市が所有する土地を無償貸借する行為は特定の宗教団体の援助にはあたらず問題ない

特定の宗教団体ではない遺族会主催の慰霊祭に市の教育長が出席したことも問題ない

訴えのきっかけ

蓑面市が小学校の増改築のため、戦没者の遺族会所有する忠魂碑を他の市の所有する土地に移転した。

その際移転費用の負担と移転後の市の土地を無償で貸借した。また忠魂碑前で遺族会が開いた慰霊祭に市の教育長が出席した。

この事実が公になるとこれら市の行為は特定の宗教団体を援助・助長する行為で、政教分離原則に違反するのではないかと訴えが起こり争うことになった。

判旨

  • 市が行った忠魂碑の移転は、移転後の土地を有効活用することが目的である。
  • 憲法で定められている宗教団体・宗教上の組織とは、宗教と何らかのかかわりあいのある行為を行っている組織や団体のすべてを意味するものではない
  • 遺族会は特定の宗教の信仰等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体とはいえない
  • 市の教育長の慰霊祭への参加も戦没者遺族への社会的儀礼を尽くすという、もっぱら世俗的なものであり特定の宗教を援助するなどの行為とは認められない

ポイント

押さえておくべきポイントは4つあります。

  1. 忠魂碑の移設は特定の宗教を援助等を促進したり、他の宗教に干渉を加えるものではない
  2. 憲法20条1項・憲法89条にいう宗教団体、宗教上の組織とは、宗教となんらかのかかわりがある行為を行う組織や団体の全てを意味するものではない
  3. 遺族会は宗教団体、宗教上の組織には当たらない
  4. 遺族会の主催する慰霊祭に教育長が出席する行為も特定の宗教団体への援助等にはあたらない

まず一つ目の忠魂碑の移設に関してですが、そもそもの目的が小学校の建て替えで忠魂碑移設後の跡地を活用することでした。

なので宗教的意義は何もないわけです。それを市が費用負担したり、移設後の土地を無償で貸借することは問題ないということです。

二つ目の宗教的組織の部分ですが、たしかに忠魂碑というのは戦没者のために作られるものです。

戦没者の慰霊などというと宗教的なにおいがするという見方がでるのも仕方ない面もたしかにあるかもしれません。

しかし憲法でいう宗教的組織というのは宗教的なものすべてを含むものではなく、特定の宗教の信仰等を本来の目的とする団体のことであると最高裁が判示したわけです。

つまり遺族会というのは何か宗教を信仰することが主な目的ではなく、ただ亡くなった人を祈念するのが目的なんですね。

だから三つ目のポイント、遺族会は宗教的団体にはあたらないと判断されました。

そして四つ目、二つ目と三つ目のポイントで挙げたとおり、宗教的団体にあたらない遺族会の行った慰霊祭に市の教育長が出席したとしてもなんら問題ないということになります。

出題例

・市の行った忠魂碑の移転は、戦没者遺族に対する援助・助長であると認められるため、政教分離原則に違反する。

・遺族会は憲法20条1項後段、憲法89条にいう宗教団体、宗教上の組織に該当する。

・市の教育長が慰霊祭に出席した行為は、遺族会という宗教上の組織に対する援助・助長となるため政教分離原則に違反する。

いずれも誤りの肢であるというのはわかる人も多いかと思います。大事なのはどの部分がどう違うのかというところです。

いまいちよくわからないという方は、今一度ポイントのところに戻って確認しておきましょう。

まとめ

今回は箕面市忠魂碑訴訟事件より、政教分離についての争いに関する論点をみてきました。この判例はそこまで複雑ではないため、一度理解すればすんなり頭に残りやすいと思います。

とにかくこの判例は結論はもちろん、なぜそうなのかという理由を重点的に復習しておくべきです。

もちろん令和2年の行政書士試験において出題される可能性がありますので、出題されたら確実に正解に導けるようにしておきましょう。

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