行政書士試験で出題される、外国人関連の分野の判例のまとめを知りたいです。
今回は行政書士試験において頻出分野の外国人関連の部分についてまとめていきます。この記事を読めば、
ですので自分の苦手な分野だけ読むなど、各個人で上手く活用して頂ければと思います。それでは説明していきます。
外国人の出入国
入国の自由
入国の自由についてですが、ここでは憲法22条1項の居住、移転の自由を考えます。結論としては、
憲法22条1項は日本国内の移動を指し、外国人の日本への入国について規定しているものではない
つまり外国人の入国の自由を認められるものではないということになります。
出国の自由
日本人でも外国人でも出国の自由を有する。
国から出ていくことは何のマイナスにも政府にはないですからね。
再入国の自由
憲法上、外国へ一時旅行する自由は保障されているものではない。
つまり再入国の自由はなしです。
亡命
亡命の自由はなし!(ちなみにドイツの憲法には規定がある)
外国人の在留期間に関する問題
外国人と法の下の平等
外国人と法の下の平等に関する最高裁の判例は昭和39年に出されています。ここで押さえておくべきはこの一文のみです。
憲法14条の法の下の平等は特段の事情がない限り、外国人にも認められる
ここはこれだけで覚えておけばいいです。
マクリーン事件
おそらく外国人の人権の分野の中で一番出題されやすい判例がこのマクリーン事件ではないでしょうか。それくらい大事な判例です。
この判例の簡単な結論はというと、
- 外国人にも政治的意思決定に影響を及ぼすなど不適切であると認められるものを除いて、政治活動の自由が認められる
- 在留期間をどうするかの判断は法務大臣の裁量権の範囲内にある
- 法務大臣の裁量権の逸脱があったときは裁判所の判断が及ぶ
以上の三点は押さえましょう。詳しく別記事も用意しておりますので、こちらもどうぞ。
外国人の参政権
国会議員の選挙権、被選挙権
まず国政選挙ですが、それぞれ平成5年と平成10年に最高裁の判例があります。
それぞれ外国人は国会議員を選ぶ選挙権はあるのか、もしくは国会議員に立候補できるのかが焦点となった判例です。
結論は簡単で、これだけ押さえておけば大丈夫でして、
国政選挙についてはこの結論だけ頭に入れておけばOKです。むしろ次の地方選挙権の方が試験では問われやすいので、そちらが大事です。
地方選挙権
地方選挙権については平成7年の判例があります。地方選挙権についても国政選挙と同様に、
自国民のみに選挙権を認めるとした立法府の判断は違法ではない
との判断でした。しかしここで押さえるべき大事なポイントがあります。それは、
ということです。これは地方選挙権だけで、国政選挙では認められていません。
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
管理職への就任
これは特別永住者が地方公共団体の管理職に昇進できないのは違法ではないのか?という争いです。
結論としては、
となります。もっと詳しく説明した別記事がありますのでそちらもご覧ください。
外国人と社会権
次は社会権との兼ね合いについての判例になります。ここで押さえるべきは、外国人にも社会保障や生活保護が認められるものなのか?という点です。
それぞれまた判例がありますので、それぞれ紹介していきます。
外国人と社会保障
ここでいう社会保障は国民年金です。外国人に国民年金を支給しないのは違法でないのか?という判例です。
平成元年に出された塩見訴訟という判例を見てみます。そこで出された結論は、
- 国民年金は自国民が出しあったお金が財源である(財源に限りがある)
- その支給対象を決める裁量は立法府に属する
- 自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される
つまり国民年金の財源は日本人が納めたお金が財源なので、それを立法府が日本人に優先して支給すると決定しても違法ではないということを言っているわけです。
言い換えれば、在留外国人でもきちんと国民年金費用を毎月納めていれば国民年金を受け取れるということです。決して一切国民年金を受けとることはできないと言っているのではないんです。
外国人と生活保護
生活保護ついても平成26年に最高裁が判決を出しているものがあります。
結論としては国民年金と同じように、生活保護も財源は自国民の税金なので支給対象を自国民に限るとしても違法ではないということです。
この生活保護に関する判例について詳しくまとめています。ご覧ください。
外国人関連のその他の判例
さて最後になりますが、外国人関連の判例で最後に押さえておいてもらいたいものがあります。それは指紋をとられることを強制されるのは違法ではないのか?という判例です。
指紋押捺制度
この判例で焦点となったのは主に二点です。
- 指紋を強制的にとられない自由は認められないのか?
- もし指紋を強制的にとられない自由が認められる場合、それは外国人にも保障が及ぶのか?
簡単に結論を言うと、指紋を強制的にとられない自由がありそれは外国人にも等しく及ぶ、となります。
この外国人指紋押捺拒否事件については別記事で詳しく書いています。
まとめ
さて今回は行政書士試験で頻出分野の、外国人の人権の分野についてまとめてきました。一通り全てあげましたので、ここに挙げたものを押さえておけば試験で出題されても間違いなく大丈夫だと断言できます。
数が多いな…と感じてしまう人もいるかもしれませんが、1つ1つの判例で押さえておくべき点は少ないです。ですので1つずつ確実に押さえていって下さい。
それでは引き続き勉強を継続していって下さい。