マクリーン事件ってどんな事件でしょうか?
詳しく教えてください。
マクリーン事件とは?
事案
アメリカ国籍のマクリーンは在留期間1年として日本に入国し、1年後に在留期間の更新を申請したが、在留中の無届転職と政治活動を理由に、法務大臣は更新を拒否した。
外国人に在留する権利があるか、また外国人に政治活動の自由があるのかということが問題となった。
判旨
- 憲法上、外国人は日本に入国する自由を保障されているものではないし、在留の権利や引き続き在留することを要求する権利を保障されているものでもない。
- 基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除いて、日本に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
- 政治活動の自由についても、日本の政治的意思決定orその実施に影響を及ぼす活動など外国人の地位にかんがみこれを認めるのが相当でないと解されるものを除いて、その保障が及ぶ。
- 外国人対する憲法上の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎないと解するのが相当である。在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしゃくされないことまでの保障が与えられていると解することはできない。
- 法務大臣が審理、判断するにあたって、当該判断が法務大臣の裁量権の公使としてされたものであることを前提として、その判断が社会通念に照らして著しく正当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、当該判断が裁量権の範囲を超え、またはその濫用があったものとして違法である。
マクリーン事件のポイント
- 外国人にも基本的人権、政治活動の自由は、日本国民同様ではないが保障が及ぶ
- ただし在留延長、入国の自由は保障されていない
- 外国人の在留期間の更新をどうするかは法務大臣の裁量で決定できる
- しかしその決定に裁量権の濫用があるときは裁判所が違法であると判断できる
簡単にまとめてみます。
基本的人権は権利の性質によるものを除いて外国人にも及ぶ。政治活動も政治的意思決定に影響がないと認められるならやってもいい。
ただし在留を要求する等の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で認められるにすぎないものだ。
それを判断する法務大臣が自由裁量行為として判断することが認められる。しかしその法務大臣の判断が裁量権の範囲を越えたり、濫用あるときは違法の判断になる。
マクリーン事件の試験での出題例
マクリーン事件に関して、問われ方は3つあります。
・基本的人権の尊重は等しく外国人にも及ぶ。
・外国人の政治活動が、わが国の意思決定に影響を及ぼすとしても認められる
・裁判所は、法務大臣の外国人がわが国の政治的意思決定に影響を及ぼす政治活動をしたことを理由に、在留期間の更新を認めない決定をしたことについて裁量権の範囲を超える違法なものであると判断できる。
いかがでしょうか?全て答えは×ですよ。過去問、模試なんかで見た限りこの3つを押さえて置けば大丈夫です。しっかり押さえておきましょう。
まとめ
今回はマクリーン事件について解説してきました。マクリーン事件は試験で問われやすい部分であるのは間違いありません。
今回挙げたポイントをしっかり、結論と理由は説明できるようになるまで繰り返し復習するべきです。
そこまで複雑な判例ではないので、試験で問われたら確実に得点できるようにしておきましょう。